大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和23(れ)1502 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人益谷幾蔵の上告趣意について。

当裁判所の屡次の判決の示すとおり、憲法第三六条に所謂「残虐な刑罰」とは、

不必要な精神的、肉体的苦痛を内容とする人道上残酷と認められる刑罰を意味する

のであつて、事実審の裁判官が、普通の刑を法律の許す範囲内で量定した場合にお

いて、それが被告人の側から観て過重の刑であるとしても、これを以て直ちに憲法

の禁止する「残虐な刑罰」ということはできない。(昭和二二年(れ)第一一九号、

同二三年三月一二日言渡大法廷判決。昭和二二年(れ)第三二三号、同二三年六月

二三日言渡大法廷判決参照)。換言すれば、憲法に残虐な刑というのは、刑罰その

ものの種類又は処刑の方法を指すのであるから原判決が老齢の被告人を八月の懲役

に処したことを以て所論のように憲法の右の規定に違反するものということはでき

ない。老齢のために刑の執行が不当と認められる場合には、刑事訴訟法(旧刑訴第

五四六条第二号、新刑訴第四八二号第二号)に救済の途が開かれていて、検察官の

指揮により懲役の言渡を受けた七〇歳以上の者の刑の執行を停止することができる

のである。論旨は結局原審の自由裁量権に属する量刑の不当を非難するものに外な

らないから、採用することができない。

以上の理由により刑事訴訟法施行法第二条、旧刑事訴訟法第四四六条、最高裁判

所事務処理規則第九条第四項に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

検察官 長谷川瀏関与

昭和二四年三月二九日

最高裁判所第三小法廷

- 1 -

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!